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よみもの かんざしにまつわる話

よみもの 江戸小紋について【第一回】

一本の細い棒には、霊力が宿るという・・・


髪に挿す、一本の棒、簪(かんざし)。
縄文時代の出土品から、すでに当時の男女ともに長い髪をまとめ、髷(今でいうとおだんごですね)にして、木製の櫛やかんざしを挿していたことがうかがえます。


一説によると、ただの飾りではなく、生命力を身に着ける呪術だったとか。
かんざしには「魔を追い払う」力があるとされています。
神事や饗宴の時に髪や冠に生花を挿したので、「挿頭花」(かざし)と呼ばれたのが由来のようです。 挿頭花は今でも神社で行われる奉納舞楽などに見ることができます。
(▲冠に桜の枝の挿頭花。雅です!)

平安時代には女性は長い垂髪で美を競うようになり、鎌倉~南北朝~室町~安土桃山時代と戦乱の世が終わるまで、女性の髪は垂髪か簡単にまとめたものが主流となります。

武家社会の中では質素が求められました。いつ敵が攻めてくるかも知れない時に、武士の奥方様やお姫様はおしゃれに手間暇かけていられないですよね。

浮世絵でも見られる通り、様々なかんざしと日本髪が生まれたのは江戸時代中期。
戦の無い、太平の世になって女性の髪型はどんどん大型化・複雑化してゆき、髪結い職人やかんざし職人など髪にまつわる専門の職人も増えていきました。
(▲笄(こうがい)という、髪を巻き上げて髷をつくるかんざしの一種)

素材も金や銀、鉄、真鍮といった金属から、べっ甲、象牙、琥珀、サンゴ、螺鈿細工、漆塗りで蒔絵をほどこしたものなどかんざしは発展を遂げます。

琉球でも、ジーファーと呼ばれるかんざしがあり、王様から民衆にいたるまで男女とも使用していました。身分によって素材が異なったそうです。

幕末、明治時代になりかんざしは変化を見せます。セルロイドやガラスなど西洋から入ってきた素材のかんざしや西洋風のデザインのかんざしが普及しました。
断髪やパーマネントの流行で、短い髪やパーマネントに合う二本足の短いかんざしが増えます。
残念なことに、大正末期~昭和に入り日本髪の衰退や戦争の影響でかんざしも危機を迎えます。

しかし、戦後また平和な時代がやってきました。 着物でなくても、お洋服でも使えるカジュアルなかんざしの時代が、まさしく今なのです!


代表的なかんざしの種類

<玉かんざし>
現代でも愛される、棒にコロンとした飾り玉がついたシンプルなかんざし。
シンプルゆえにたくさんの種類があり、着物でも洋服でも合うものが多いです。
(▲飾り玉の素材は天然石、サンゴ、ガラスをはじめ様々あります。)

<平打ちかんざし>
丸く平らな形に一本または二又に分かれた足がついているもの。
丸い部分には自分の家紋や愛しい人の家紋を入れたそうな・・・。
そして、ほとんど先端に耳かきがついています。(現代では実用的な耳かきではないです)

これは、江戸時代に贅沢禁止令が出て「かんざしじゃなくて、耳かきです!」と逃れるための策だとか。または、愛しい人を膝枕で耳かきするためだとも・・・。素材は銀、べっ甲、木、樹脂製のものがほとんどです。

<つまみかんざし>
舞妓さんの花かんざしとして有名ですね。
小さく四角に切った薄い絹を、折りたたんで糊付けして重ね、花や動物の形にして土台につけたかんざし。すごく手間がかかりますが、その分華やかで愛らしく、近年とても脚光を浴びており、自分で作る講座も人気があります!
小ぶりなつまみかんざしは、大人でも普段使いに使えますね。

<バチ型かんざし>
三味線のバチや銀杏の葉を模した二本足のかんざし。扇型とも。まとめた髪に優しく挿すと、誰もがしっとりと和美人な後ろ姿に。蒔絵のものは高級感があります。
(▲裏にも絵がこっそり描いてあるんですよ。詳しくは商品ページで!)

<バレッタ>
英語ではBarrette(バレッテ)と発音するのですが、由来はなんと小さな棒を意味します。 髪止めピンの意味なんですが、現在では金具で挟んで髪を止めるアクセサリーとして、みなさんおなじみですよね。
バレッタなら、ショートヘアを素敵に見せてくれます。


足の数

<一本差し>
一番シンプルなかたちで、挿した後も少しは動かせます。
頑丈なものだとヘアゴムを使わず、かんざし一本でまとめることができます。
(▲昔はいざというときに護身用にもなったというのもうなずけますよね。)

<二本差し 二又>
まとめた髪に差し込みます。挿した後に向きの調整がしづらいので、一度抜いて調節を。
足の細いかんざしは、無理に動かしたり、はさむ髪の量が多すぎると壊れてしまうことも・・・。

<三本以上>
こちらも、まとめた髪に差し込みます。足が多いのでホールド感があります。
かんざしというより、コーム型かんざし・髪飾りの印象がありますね。小さいものだとショートヘアでも使えるものもあります。
抜き差しを繰り返すと、まとめた髪が乱れる原因となりますのでご注意を。

季節

あまりかんざしは厳密なルールはありませんが、植物モチーフは季節にあっているとやはりオシャレです!

季節を問わないモチーフであれば、いつでも使えて便利です。 なんとなく涼を感じる色や素材のかんざしは、日差しが暖かくなってからがおすすめですね。


TPO

季節同様、カジュアル着物のかんざしはあまりルールがありませんが、着物とかんざしのバランスが合っていることが重要です。
フォーマル着物には華やかなパールや螺鈿のついたバチ型かんざしや、繊細なかんざしが合います。 (▲流線デザインならモダンな雰囲気。梅はおめでたい花ですので、お喜びの席に合います)


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いかがでしたでしょうか?
現代はヘアスタイルの多様化で、無限にかんざしやヘアアクセサリーがあると言っても過言ではありません。
ぜひ、とっておきの一品を見つけて、お守りのように髪に飾ってください。きっと元気に過ごせるはずですよ!