着物の基礎知識レッスン【第五回】襦袢について
襦袢は縁の下の力持ち!
今回は「襦袢層」について。
着物の下に着る襦袢は、着物の汚れを防いでくれたり、美しい着姿の土台となります。
外から見える部分は少しですが、着物の着こなしが決まる重要ポイント。
美しい着姿の土台は長襦袢にあり!
■長襦袢(ながじゅばん)必須度:100%
着物の下に着る襦袢。
プレタの長襦袢ならすぐに着られます。長襦袢用の反物を自分サイズに仕立てることもできます。
長襦袢と、上下に分かれた二部式襦袢があります。どちらでも着物を着てしまえば外からはわかりません。
二部式襦袢は身頃と腰回りが綿素材のことが多く、汗を吸ってくれます。
▲長襦袢は身丈の合ったものを選びましょう。二部式襦袢は、着るときに身丈が調節できます。
上だけの半襦袢やTシャツ襦袢【ルグラン】に、裾除けやステテコ、ペチコートなどお好みのボトムを合わせてもOK。
Tシャツ襦袢【ルグラン ワンピース】なら、着物の下に一枚着るだけでOKです。
袖の振りがありませんが、普段着なら袖なしでも良いですし、替え袖を足して着ることもできます。
気軽に着られて洗濯も簡単です。
▲半衿付きTシャツ襦袢【ルグラン】。ワンピース型なら着物の下にこれ一枚でOK!
<季節>
着物同様に、季節に合わせた長襦袢があります。
まず、仕立ての仕様について。
袖と身頃のどちらにも裏地が付いた『袷仕立て』や、袖だけ二重になっていて身頃は単衣の『無双袖(むそうそで)』の長襦袢は、袷着物の時期向け。
袖も身頃も裏地のない『単衣』の長襦袢は、単衣着物の時期とその前後向けです。
ただ、寒い時は下着やアウターで調節できるので、最近は一年中単衣仕立てを着ている方も多いようです。外からは袖の振りしか見えないので、ほとんどわかりません。
盛夏(7~8月)とその前後は、透ける絽、紗、麻などの長襦袢を着用します。
半襦袢やTシャツ襦袢【ルグラン】は、身頃と筒袖が綿でできているので、一年中同じ素材でOKです。半衿を季節に合わせましょう。
(▲夏の着物や帯のように、夏の長襦袢も絽で透ける素材です。)
<TPO>
夏物以外の真っ白の長襦袢は、主にフォーマル向き。淡い色で柄が控えめな長襦袢は、フォーマルやカジュアルまで幅広い着物に着られます。
濃いめの色や柄ものはカジュアルに。袖のふりからわずかに除くとお洒落です。
■半衿(はんえり)必須度:100%
ここが外から見える部分!
長襦袢に半衿を付けてから着用します。縫い付けるか、半衿用の両面テープを使えば縫わずに取り付けることができます。
プレタの長襦袢にはたいてい半衿が付いています。リユース品は色々なので着る前に確認しましょう。
<季節>
9月~翌年5月は、横向きの細い畝がある『塩瀬(しおぜ)』や、表面にシボと呼ばれる凹凸のある『ちりめん』などの透けない素材の半衿を。シボの大きな厚手のちりめんは、主に秋冬向きです。
6月~8月は帯同様、絽や麻などの透け感のある半衿を使います。レ-ス半衿はカジュアルな着物に合わせて一年中使えます。
その他に、単衣時期から夏用の『楊柳(ようりゅう)』もあります。
<TPO>
お洒落を決める重要ポイント。顔まわりに近いので、半衿を変えるだけで全体の雰囲気も変わります。
白無地の半衿はフォーマルからカジュアルまで万能に使えます。塩瀬は清潔感がありキリッと見え、ちりめんは柔らかい雰囲気に。
地紋入りの半衿は、取り入れやすくさりげなくてお洒落です。
金銀糸の華やかな刺繍入りはフォーマルシーンやパーティーなどに。カラフルな色柄ものはカジュアル着物に合わせて楽しみます。
半衿を変えると、着物が違って見えるからあら不思議!これも着物のコーディネートの楽しさ。
(▲白無地の塩瀬半衿はどんな着物にも合わせられます。右は可愛らしい刺繍半衿。アクセサリー感覚で楽しんで。)
着物の袖から見えてない??
着物と長襦袢の裄丈や袖丈の違い、また生地の落ち感の違いで、着物の袖から長襦袢の袖が見えてしまうことも。
長襦袢の裄や袖丈を着物に合わせてお直しすれば解決ですが、簡単に済ませたい場合は、長襦袢を安全ピンで留めて調節しましょう。
Tシャツ襦袢【ルグラン】なら、袖の振りがないので見えてしまう心配がありません。
袖の振りがほしい時は、替え袖を付けましょう。【ルグラン】の袖ではなく着物の袖の裏側に縫い付けるか安全ピンなどで留めると、着物の裄丈に簡単に合わせられます。
▲別売りの替え袖を、着物の裏側に付けると簡単!
長襦袢の背中の細長い布は何?
衣紋抜きです。
下向きに引いて胸紐で留めることで、衣紋が詰まらず美しい抜きを保てます。
外から見えるところと、見えないところ。好みに合った襦袢を選んで、着物のお洒落と快適さを両立しましょう!
次回は下着層についてお話します。