都内にありながら昭和の風情が楽しめる街「池上」。 池上本門寺の門前町として栄えてきました。
池上本門寺からほど近い路地に、鮮やかな暖簾が目を惹く一軒の古民家があります。かつては、地域の人々や参拝客に愛される蕎麦屋「蓮月庵」でした。
店主がご高齢のため惜しまれつつ閉店したのですが、蓮月の存続を願う人々が集い、多くの方々の協力のもと、カフェとして再生することになったそう。
そうして誕生したのが「古民家カフェ蓮月」です。とても素敵なエピソードですよね。
暖簾をくぐって店内に入ると、いたるところに蕎麦屋だったころの名残があります。創業当時の品書きや、すりガラスに「おそば」の文字も。
現在はドリンクカウンターとして使用されている屋根付きの空間、以前はどんな使われ方をしていたのでしょうか。
二階は広いお座敷。創業当時は「旅籠」として利用されていました。履物を脱いでゆったり寛げます。
寝転がって窓の外を眺めると、ちょうど本門寺が見えるように設計されているのだとか。
すりガラスも霜が降ったような繊細な模様。建具の木枠デザインにも惹かれます。西洋化が進んだ今の時代となっては、昭和の古きものが新しく感じますね。
国産レモンの皮を使用した「レモンケーキ」は酸味と甘みが程よく、爽やかな味わいです。
一階のカフェ空間とは異なる魅力で、まるで旅行に来たような気分が味わえます。
瓶覗色に丸窓と松川菱の障子は、着物にも共通するデザイン。和の色や日本古来の模様の完成度の高さに感心してしまいます。
このお座敷は「放課後自習室」として、学生が地域の人々に見守られながら、居心地よく勉強できる空間としても利用されています。
小さなお子様連れのお客様も多く、階下からは賑やかで可愛らしい声が聞こえていました。
蕎麦屋からカフェに生まれ変わっても、地域の歴史や交流の場としての役割を引き継ぎ、これからも愛されていく場所。
ここには、「古き良き」温もりと優しさを感じる時間が流れています。
古民家カフェ蓮月昭和初期から営業していた蕎麦屋「蓮月庵」を保存するプロジェクトとして2015年にオープン。新たな形で地域交流の場となっている。
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