男の着物 ときどき着物なジミーの場合。【第三回】

くるり仕入部のジミーです。
「男の着物 ときどき着物なジミーの場合。」【第三回】は、日本男児の履物をテーマにしてみたいと思います。

日本人の生死感は時代とともに変化してきました。 

武家社会の時代。武士は、いざという時に死力を尽くして戦えるようにと、幼少の頃から常に、己の屍が野に曝されている光景を脳内にイメージするよう教育を受けてきたといいます。凄まじい生死感ですよね。 

しかし現代では医療技術の進歩とともに、入院中に病院のベッドで亡くなるのではなく、住み慣れた自分の家で死にたいということから「畳の上で死にたい」という願望を多くの人がもつようになりました。 

「畳」とは、むろん「慣れ親しんだ自宅」という意味のメタファーでありますが、よほど「畳」というものは日本人を尊い気持ちにさせるようですね。

日本男児の履物における最上位に「畳表(たたみおもて)」が君臨している。

つまり極端に言えば、外に出ても常に畳の上にいる状態を維持し続ける履物である。 

行けども行けども、清潔な畳みの上を清げな白足袋で踏み続けられるというわけだ。ある意味でこれにも凄まじさを感じる。

「畳表(たたみおもて)」には、薄底の裏に革を張った「雪駄」(上)のタイプと、やや厚底の「草履」のタイプがあるが、どちらも「礼装」仕様ということでは、変わらない。 

これが日本男児の履物における最上位「畳表」である。女性で言うところの「訪問着」にあたる、「お召し」を男性が着る場合は、白足袋を履いて畳表の草履を履きたい。 

私の個人的な趣味で、畳表の雪駄に、本にしき蛇の鼻緒をすげてみました。この美しい天然自然の柄は「ダイヤ錦」とも呼ばれています。
※ちなみにダイヤ錦は結婚式などの由緒正しい場には向きません・・・。

スタイリッシュな履物としては「ホースヘア」がお薦めである。 ホースヘアとは、文字通り馬の毛のことで、馬のたてがみとしっぽの毛を指す。なかでも70cm以上も伸びる尾毛はたてがみより長く、しなやかさと強靭さを兼ね備えているのが特長である。

ホースヘアは、馬の毛を手織りの機で職人が時間をかけて織ったもので、履物に使われる素材としては、かなり高級な部類になる。 つねにハイエンド・クラスを求める、こだわり派のあなたには「畳表」と「ホースヘア」がお薦めである。 

もう少し手頃なもので探すならエナメルがお薦めだ。 

エナメルとは、牛皮に「七宝焼」などに使われる釉薬を塗装して光沢を出した素材で、表面からは上品な雰囲気が漂い、足下をお化粧してくれる。 

礼装の場にももちろん履いていける。

ご紹介してきた「草履」や「雪駄」は、男性が「お召し」を着るときに履くべきフォーマル仕様の履物であるが、むろん紬やデニムなどのカジュアル着物を着るときでも履いても構わないし、むしろ普段着の着物を上品めに着たい方にはお薦めの履物である。 

しかし気兼ねなく普段着として紬やデニム着物を着る場合や、浴衣を着る場合などには「下駄」のほうが良いであろう。 

彼らが「下駄」である。

木製の台に鼻緒がすげてあることが「下駄」の特長である。 

下駄というと、底に二本の歯がある「駒下駄」を思い起こす人も多いであろうが、あれはまるで「拷問道具」のように履き苦しい。 

下駄の場合、舟形の美しいラインをもった「右近」が履きやすく、長時間履いていても苦痛もなく、お薦めである。 

デザインは質朴で、味わいがある。価格もリーズナブルで「まずは普段着として」という着物初心者の方にはお薦めである。

簡単に日本男児の履物を表で説明すると以下のようになります。 

ご参考にして頂けましたら嬉しく思います。

第三回「男の着物 ときどき着物なジミーの場合。」いかがでしたでしょうか。履物づくしの第三回でしたが、次回は、うちの会社の真骨頂「デニム着物」について、特集したいと考えております。どうか、お楽しみに。

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