着物の基礎知識レッスン【第六回】下着と小物について
代用可能なものと、意外と忘れがちな小物
今回は肌着など「下着層」について。
ちゃんと着物用の下着はあったほうが快適なのですが、実は下着層は代用可能なものが割とあるのです!そして、忘れがちな小物。いざ着る時にあわてないように、準備しておきたいものですね。
快適に過ごすために。【下着層】
外からはもちろん見えませんが、一番肌に接する下着層。
着物を着ている時は、体は無意識にお洋服の時と違う体の動きや使い方をしています。
着付けをし、さらにお出かけしたりするのですから、体力も使っています。
汗を吸い取る役目もある重要な層なのですが、ここは代用可能なんです。
■名称:肌襦袢(はだじゅばん)ガーゼ肌着とも。
必須度:50%
洗える長襦袢なら問題は無いですが、洗えない長襦袢、着物を汗から守るためにも肌着は着物の時も必要ですし、上半身の汗を吸収してくれ、快適に過ごせます。素材は吸湿性にすぐれたものやガーゼのものが多いようですね。
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(▲二部式襦袢や筒袖の半襦袢に似ていますが、衿の仕様が違います)
・・・ですが、見えないのでタンクトップやVネックのインナー等で代用可です!
うなじが開いている半袖のインナーがちょうど良いです。着物からくれぐれもインナーが見えないようにしてくださいね。
■名称:裾除け(すそよけ)蹴出し(けだし)とも。必須度:50%
腰まわりから足首までを包む、巻きスカートのような下半身のインナーです。
商品によっては、巻きスカート状でないロングスカート状のもあります。足さばきをよくしてくれます。
素材はお腹まわりは吸湿性の良い綿、足部分はポリエステルものが多いです。
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(▲女性の冷えは大敵!腰回りに一枚布があると気持ち的にも安心なんです)
こちらも見えないのでスパッツ・ペチコート等で代用可、滑りのいい素材がおすすめです。冬は特に足が冷えるので色々重ね着で工夫している方が多いようです。
夏は汗を吸ってくれるステテコがおススメ。
ある人は「今日は下駄でたくさん歩く日だから」と、着物の下に膝をサポートするスポーツタイツを履いていました!見えないからってツワモノですね・・・
忘れちゃいけない小物類と履物!
■名称:腰紐(こしひも)必須度:100%
着物を腰で固定する、長襦袢をおさえる、帯を結ぶ時に仮に固定する、襷をかける(笑)など、着物を着るにおいてマストアイテムです。2本で足りるという人もいますが、初心者は3本あると便利です。
素材はズレにくいモスリン(毛)が多いですが、ポリエステルや絹もあります。
細い紐状になると、体に食い込んで痛いので、平らになるように五角形にくるくる巻いて保管している方が多いようです。なぜかよく失くすので多めにストックしておくのがおすすめ。
■名称:衿芯(えりしん)必須度:90%
前回の【第二回】襦袢層についてで、半衿の部分でも触れましたが、衿芯があったほうが断然綺麗にピシッと着られます。
(▲襦袢の衿の内側からスルスルとこうして入れます。向きに注意!)
素材はやわらかいポリエチレン樹脂。夏用にメッシュタイプのものもあります。
■名称:伊達締め(だてじめ)必須度:90%
こちらも胸まわりの着物や長襦袢をずれないようにする際に必要です。慣れてない人は2本あると安心です。腰紐より表面積が広いので、広い範囲を押さえてくれます。
(▲色・柄は様々。博多織の伊達締めは柄が×××となっているほうが裏側になります。上下の向きはありません)
素材は絹でできた博多織の伊達締めが締めやすくて有名。ポリエステル素材もありますし、ゴムのシャーリングがついたものも。マジックテープで留められるものもあります。
■名称:帯枕(おびまくら)必須度:80%
名古屋帯でのお太鼓結び、袋帯での二重太鼓をする場合は必須です。お太鼓の帯山をきれいに整えてくれます。半幅帯やファブリック帯など帯枕を使わない結び方もあります。
(▲このように帯揚げをかけて使います。見えないところで帯を支えます!)
■名称:帯揚げ(おびあげ)必須度:90%
帯枕にかぶせる、長細い布。半幅帯・ファブリック帯以外の時は必須です。様々な素材がありますが、すべりの良い素材が多いです。
<季節>
9月~翌年5月までは透けない素材(塩瀬やちりめんなど)の半衿を。6月~8月は半衿同様、絽や紗などの透け感のある素材の帯揚げを使います。
<TPO>
カジュアルとフォーマルで使い分けます。
ちりめんや絞りはふんわりした暖かみを感じさせ、カジュアルに向いています。
フォーマル向きなのは光沢感のある綸子。金糸・銀糸が使ってあると華やかです。
(▲ちょっとしか見えないですが、そのチラリズムが良いのですよね♪)
■名称:帯締め(おびじめ)必須度:95%
結んだ帯が緩まないよう支える大切なもの。半幅帯以外の帯の時は必須です。
半幅帯でもゆるみやすい結び方の時や、アクセントとして使うことも。
体の中心に位置し、視界に入りやすいのでコーディネートを引き立てる役目もあります。
(▲フォーマルな帯には金糸や銀糸入りの帯締めを)
<季節>
6月~8月は透かし編みの帯締めを使うこともありますが、あまり帯締めは季節は問いません。色で季節感を演出することもあります。
<TPO>
フォーマルは金糸の入った淡い色が多く、カジュアル向きなものははっきりした色が多いです。リバーシブルで使えるものは便利!
(▲ふつうの帯締めはそのまま結べばOK!三分紐と呼ばれる細くて薄い帯締めはカジュアル向き。帯留とセットで使います)
■名称:帯板(おびいた)必須度:80%
帯の下または、間に挟んで、帯にシワがよらないように、美しく整えます。
夏用のものはメッシュになっているものも。また、帯板にゴムベルトがついているものもあります。
(▲裏にポケットがついていて、薄いものならここにしまえちゃいます)
■名称:足袋(たび)必須度:100%
夏の浴衣の時以外は着物に必須です。ぴったりしたサイズですと、裾から見える足がとても美しく見えますので、
足にフィットしたサイズを選びましょう。だぶついているのはよろしくないです。
ストレッチ足袋は足にフィットし、長時間正座するときなど楽チンです。
<季節>
あまり季節は問いませんが、冬用に足袋の中がネル素材のものがあります。
ベルベットやツイード素材の柄足袋は、お洋服同様冬のおしゃれになります。
<TPO>
基本は白足袋!
フォーマルにもカジュアルにもオールマイティでオススメ。ですが、白足袋は汚れやすいもの。
突然必要だったりするので、ストックを持っておくと安心です。
色や柄のある足袋はカジュアルの時に思いきり楽しみましょう。
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(▲足裏、意外と見られているのです)
■名称:草履・下駄(ぞうり・げた)必須度:100%
意外と忘れがち!履き物がないともちろん出歩けません。
鼻緒が自分の足に合ってないと、痛くなってしまいますので、すげてくれる職人さんのいる店が安心です。ちょっとかかとが出るくらいがちょうど良い大きさです。
履物には左右は無いので、決めて履いても、左右交代しつつ履いても大丈夫です。下駄は歯の減りを均等にするため、左右交代で履いたほうがいいですね。
(▲下駄は台が木でできているのに対し、草履は合成皮革や革で作られています)
<季節>
履物に季節はあまり関係ありません。
下駄だから夏、冬はダメということはなく、TPOによります。
こだわる人は鼻緒を季節によって変えるとか・・・。
<TPO>
下駄はカジュアル、草履はカジュアルにもフォーマルにもOK!
他の小物同様、フォーマル向けは台も鼻緒も淡い色が多く、草履の底が三段重ね以上のほうが格があります。
(▲どちらも草履ですが、左のがカジュアル、右がフォーマル用です)
履物の世界もこだわると奥がとっても深いので、また別の機会に!
いかがでしたでしょうか?小物も揃える必要がありますが、肌着は代用できます。
いきなり全部を揃えるのは大変ですが、ちょっとずつ揃えていけばOK!
年末年始はあったか肌着に着物でお出かけしたくなりませんか?